リハビリテーションとは~上田敏先生の講演より~言語聴覚士というお仕事
私は言語聴覚士の仕事がとても好き。天職だと信じています
言語聴覚士は飲み込み(嚥下)と、コミュニケーションにかかわりますが、これって、その人の人生にかかわる奥深いものだと思っています。
でも時々聞くのが「食べさせてくれる人」とか「言語室にこもっている人」とか・・そもそも言語聴覚士自身がそう思って仕事している人も少なくなくて、とても残念!
今日から、昨年、リハビリテーション医学を確立した上田敏先生の講演をもとに、言語聴覚士の仕事について考えてみたいと思います。
リハビリテーション≠機能回復訓練
「リハビリでも」とか「リハビリなんて」とか言われたリハビリ職は少なくないはず。これは、リハビリ室での訓練をリハビリと勘違いしているからなのです。
本来のリハビリテーションとは、re-habilis(ふさわしい)-ation(状態にすること)を語源とし、「その人がふさわしくない状態に陥ったときに、再びふさわしい状態に戻す」意味です。病気やケガなどでできなくなった心身の機能を訓練で回復させることが目的でなく、「権利・資格・名誉」の回復をめざすものです。
例えば、失語症の人に対して「話せるようになる」という機能回復だけでなく、「知りたい情報を知る権利」、「自分の意思を伝える権利」さらに言えば「意思を尊重してもらえる権利」を回復することです。ほかにもいろいろ考えられますが、もしあなたが、聞く・話す・読む・書くが困難になったとき、どんな権利が阻害されるか、どんな資格や名誉が奪われるのか考えてみてください。そうしたものを回復しましょう!というのが、本来のリハビリテーションです。これを上田敏先生は
人間らしく生きる権利の回復、つまり全人間的復権
と、提唱されています。これを実現させるためには、多職種連携(横のつながり)と持続的な支援(縦のつながり)が必要で、これを総合リハビリテーションと呼びます。
リハビリテーション≠訓練室で行うもの
総合リハビリテーションとは、2006年に採択された障害者権利条約では、医学・教育・職業・社会(福祉)の4つの分野から構成されてきました。現在は、さらに行政、非制度的なもの(ボランティアやNPOなど)、ぴあサポート(当事者会や家族会など)まで拡大されています。このあたりで、いかに言語室で行われるリハビリテーションが、限局的なものであるかわかるかと思います。訓練室を否定しているわけではなく、1ピースに過ぎないとお伝えしたいのです。
- 病棟で関わる看護師さんや介護士さんと協働する
- 家族さんなど当事者と関わる人に、コミュニケーションの方法をお伝えする
- 職場の人に理解を求める
- 当事者会などを紹介する
などなど、言語室で行うもの以外にもたくさん関わることがあります。そして、それは立派な言語聴覚士の仕事です。
4月25日を失語症の日にプロジェクトしています!ぜひお読みください
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