会話の抽象度について。その2 〜失語症と高次脳機能障害者に対する言語リハビリ〜

会話の抽象度について。その2 〜失語症と高次脳機能障害者に対する言語リハビリ〜

前回、お伝えした会話の抽象度についてです。話をしています。会話は、相手に伝わりやすいように、「具体的」なことから「抽象的なこと(簡単に言えば、まとめ)」なことまでを言ったり来たりします。失語症・高次脳機能障害の方は、ここの調整が難しいのです。

具体的な説明がないと、状況がわからない相手には伝わりにくいですし、具体例ばかりを述べると、「結局なんなの?」という話になってしまいます。

前回は、まとめすぎて相手にわかりにくかった例ですが、今回は、具体例ばかりで相手に伝わりにくい例について。

言語療法での例をお伝えします

例えば、こちら、ご自身の価値観について、体験をもとに話をする軽度失語症のAさんと言語聴覚士Sのやり取りです。

A) 震災があったときに、価値観が変わりました。もうお金っていらないというか、物はいらないなって。それよりも勉強して頭に残ったこととかが大事だと思いました。だからよくいうのです、投資するならそれがいいって。←経緯がわからないので、伝わりにくい。

S)なぜそう思ったのでしょうか?←そう思った経緯、理由を聞く

A)被災地で自宅にある高級なものをすべて身に着けていた人がいたんですね。毛皮とかネックレスとかかばんとか。かばんには宝石をたくさん入れていて、それを持っていました。なんか浮いていたんですが、でも、彼女は正しかったのです。だって、震災のとき、自宅を荒らされた人がたくさんいたんですよ。だから持ち出したのは正しかったんです。

  ←あれ?話が違う?と聞き手は思う。

でも、私は違うなと思って。結局、たくさんお金をためて家を買ったとしても、崩れた人もいたし、持ち出せないものは盗まれた人もいたし。百貨店もお店も、結構、盗まれて。震災だけでなく泥棒も来たんです。それで、物ってなくなってしまって

  ←ますます何を伝えたいのか、聞き手にはわかりにくい

S)何かがあったとき、物は失われるってことでしょうか?例えば、自然災害でなくしたり、泥棒のように人災でなくなるとか。  ←具体例を少しまとめてみる。

A)そうです、でも、学校で勉強したこととか、本で知ったこととか。最近はネットとかもありますね。あと私で言えば、絵が描けるとか、クラフトが作れるとか、そういうのは盗まれないです。あ、私は病気はしましたが、それ以外は元気ですし。あと明るいですし。身体とか、心とか、そういうのも盗まれないです。

S)自分が身につけた知識や、才能、それから健康とか強い心とかでしょうか。

A)あ、そうです。それです。

S)では、もう一回、そうですね、お友達との雑談をイメージして、「何がなぜ不要で、何がなぜ大事だと思っているのか」、もう一度、お話してみてもらえますか?

言語聴覚士さんへ

具体例を引き出すだけでなく、もう一度、お話をしてもらうことが大事です。私を含め、だれでもそうですが、「うん、うん」とインプットするだけでは身につきませんよね。きちんと「アウトプット」まで持っていきましょう。

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