前頭側頭型認知症(FTD)ってなに?〜言語聴覚士のお仕事〜
医療と健康、そしてリハビリの情報〜言語聴覚士というお仕事〜本日もよろしくお願いします
脳の構造は図のように分かれています。そして、人間が他の動物に比べて最も発達しているのが「大脳新皮質」ですが、これは、前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉に分けられ、それぞれ、機能が分化しています。アルツハイマー病が、側頭葉、後頭葉の病変から始まっているのに対して、前頭側頭型認知症は、「高次の判断、思考を司る前頭葉」と「言語機能がある側頭葉」に病変がみられます。
出典;教えて!認知症予防
前頭側頭型認知症(FTD)っなに?症状は?
この病気は、初期から脳内にタウ蛋白の異常な蓄積されます。若年性認知症、つまり50歳代くらいから始まる認知症の多くは、この病気と言われています。
人格変化で有名なピック病はこの中に分類されます。
前頭葉の病変によって
- 自発性の低下、考え不精、勝手に出て行く立ち去り行動など「できるのにしない」
- 衝動買い、人の真似をしてしまう、関連した動作が止まらない(何か顔に近づくと勝手に口を開けてしまう)、同じ時間に同じ道を散歩する(周遊)など「してしまう」
この症状を平山和美先生は「我が道を行く認知症」と表現されています。
アルツハイマー病と違って、物忘れ(健忘)や、空間認知障害による道に迷う、徘徊することは稀です。
また言語機能を担う側頭葉の病変によって、人物や物の知識が失われることもあります。
適切な診断が大事!医療者の責任は重大!
ところが「アルツハイマー病って何?」に書いたように、認知症をなんでもアルツハイマー病として診断して、治療薬として大々的に宣伝していた「アリセプト」をこの前頭葉側頭型認知症の人に処方すると、興奮性が高まって介護拒否、すぐに怒り出す(易怒性)など、問題行動が増えてしまうことが多いと言われています。その結果、今度は安易に鎮静剤を処方するなど、何をしているのかわからない事態は、よくあるようです。医療者は、安易に薬に頼ることの危険性について、もっと自覚すべきだと思います。
最近、「物わすれ外来」を標榜している病院も増えていますが、画像診断、知能検査だけでなく、日常生活や診療場面での行動も評価してくれる病院を探す必要があります。家族、介護者が何が困っているのか、きちんと問診してくれるかどうか、この辺りがポイントかと私は思います。
こちらの本は、豊富な症例が掲載されていて、それぞれの症状がイメージしやすいです。まさに「臨床あるある!」という本かと思います。
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