言葉を聞く脳の仕組み~もっと知りたい失語症その2~言語聴覚士のお仕事
前回は、失語症の原因となる疾患やケガについて、そして失語症の症状についてお伝えしました。本日からは、そもそも私たちの脳は、「聞く・話す・読む・書く・計算」をどのように行っているのか、そして失語症になると、何がどう難しくなるのかについて、書いていきます。
ことばを聞いて理解するまでの過程
はじめに聞くについてです。ことばの中で、最初に発達するのが、この「聞く」です。胎児の頃から、私たちは外界の音を聞き分けていると言われますし、臨終の際も最期まで保たれるのが「聞く」だそうです。聴覚ってすごいですよね。
では、私たちの脳は、どのようにして、ことばを聞いて、理解するのでしょうか。
まず、言葉を聞く前に、音を聞き分けないといけません。例えば周囲の音楽の音と人の話し声を区別する、または周囲の人の声と、聞きたい人の声を区別します。こうして私たちは、必要な言葉の音だけを、聞き分け、脳が認知するわけです。音としては同じ刺激が脳に入ってくるのですが、不要な音は、いちいち認知しないのです。
その次に聞き取った音に、意味をつけていき、相手の発話を理解します。
まずは単語についてです。例えばご飯と言う単語は、「ご・は・ん」という3つの音で組み立てられています。その3つの音、それぞれの音を認知し、どの順番で並んでいるのかを聞き分けてから、「ご・は・ん」と言う音と、私たちが毎日食べる「ご飯」の意味がつながるわけです。こうして私たちは単語を理解しています。
その次に文法があります。文法とはその言語特有のルールです。日本語と英語の違いは、日本語の場合は、言葉の順番よりも、助詞に意味をつけていることです。例えば「子供がお母さんに花束を送る」も「お母さんに子供が花束を送る」も同じ意味ですね。それは助詞である「が」と「に」に、どのような意味が付与されているかを、私たちが理解しているから、この2つが同じ意味をもつ文章であるとわかるわけです。これが英語ですと、1番初めに出てくる単語が主語であると、語順でルールが決まっていますね。他にも「花束が、子供からお母さんに、贈られる」つまり受け身を表す「れる」「られる」が、動詞につくと受け身だと言うルールもあります。こうした様々なルールを理解しているからこそ、私たちは、文章を聞いて、理解することができます。
では、失語症になると、この「聞く」はどうなるのでしょうか。
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