失語症の原因と症状~もっと知りたい失語症 その1~言語聴覚士のお仕事~
みなさん、こんにちは。このブログのスタート時に書いていますが、あらためて、失語症の基礎知識について書いていきたいと思います。本日は、失語症とは何かについてです。
失語症は、脳の言語野
失語症は、病気やけがによって、脳の言語野と言われる部分に傷がついたことが原因で起こります。言語野とは脳にある言葉を司る部位のことで、右利きの人の95%、左利きの人でも、60~70%は左の脳にあると言われています。そのため、左の脳を優位脳といいます。利き手によって違う場合があるので、言語聴覚士は必ず、失語症者本人の利き手だけでなく、ご両親の利き手も聞くのです。
失語症を引き起こす病気やケガはいくつかあります。
最も多いのは、脳梗塞(脳内の血管がつまる)、脳出血(脳内の血管が破れる)、くも膜下出血(脳とくも膜という膜の間にある血管が破れる)といった病気です。これらは脳の血管が関係するので、脳血管疾患といいます。
交通事故や転倒、スポーツ外傷など、脳に強い衝撃が加わった時にも起こります。脳は非常に柔らかいのですが、保護するために、硬い骨に守られています。しかし、大きく頭を揺さぶった等の衝撃が加わると、柔らかい脳が硬い骨にぶつかり、傷が入ることがあります。これが頭部外傷です。
インフルエンザなどの細菌やウィルスに感染した場合の脳炎もあります。脳は脳血管関門BBSと言って、基本的には細菌やウィルスから守られるようにできているのですが、まれに、感染することがあります。これが脳炎です。一酸化炭素も、BBSを通過してしまいます。なので、一酸化炭素中毒も、脳に重篤なダメージを与えてしまいます。
その他、脳への血流が一過性に低下した一過性脳虚血発作、神経細胞の異常な興奮でおこるてんかん発作などがあります。一過性脳虚血発作や、てんかん発作では、発症したときに失語症の症状が見られ、収まると改善することが多いですが、繰り返す場合は徐々に悪化することがあります。他にも認知症の1つで、左脳の前または横の神経繊維が変性していくと、失語症状が見られます。脳腫瘍でも、言語野に侵襲があると失語症になります。これらは、ある日突然と言うのではなく、進行するにつれ、失語症状も進行していきます。
失語症の症状
失語症の症状としては「聞く・話す・読む・書く・計算」が難しくなります。脳の損傷した部位や範囲によって、失語症の症状や重症度は異なります。
脳の病気や怪我をした直後に言葉が出ない、いわゆる失語症のような症状が出る人は少なくありません。こうした急性の段階を出した後でも、聞く・話す・読む・書く・計算に困難さが見られる場合を、失語症といいます。加齢などにより、すぐに言葉が思いつかない、そうした言葉の難しさとは異なります。
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