失語症・高次脳機能障害者の就労について「脳に何かがあったとき」その①~言語聴覚士のお仕事

失語症・高次脳機能障害者の就労について「脳に何かがあったとき」その①~言語聴覚士のお仕事

失語症・高次脳機能障害の就労をテーマにした冊子「脳に何かがあったとき」は1年半を超えました!36名以上の方をインタビューして記事にしています。この事業は、厚生労働省老人保健健康増進等事業 『認知症の人の地域における参加・交流の促進に関する調査研究』の一環として、中途障害である失語症・高次脳機能障害の方についての報告を書いています。今日から、文章がかなり堅いですが、その内容をこちらのブログでも公開したいと思います。

「脳に何かがあったとき」この事業の目的は?

 このブログでもたくさん書いてきた高次脳機能障害は、脳卒中や頭部外傷などの脳損傷により、言語・記憶・思考などの認知能力に障害をきたすため、日常生活や社会生活への適応に困難を生じる障害です。現在、推定50万人とも(種村2011)80万人とも(渡邉2019)とも言われ、かなりの人数が存在します。このため、保健医療行政の中で、他の疾病や障害と比較して遅れているということはなくなりつつあります(中島2017)が、麻痺と違って見た目でわかりづらく、軽度であれば、以前と変わりなく普通の社会生活をやっているように見える(山田2011)ため、意識を持って診断しなければ見過ごされる可能性がある(中島2011)。診断が見過ごされると、必要なリハビリテーションや、情報提供をうけることなく退院となってしまいます。

この未診断問題をなんとかしたいという願いが発端です。

しかし、たとえ診断がついたとしても、就労の場における問題は、高次脳機能障害の症状だけでなく、もどる職場の環境、職種と業務内容などが複合的に絡み合って起こるもので、個別性の高い評価とアプローチが必要とされます。それなのに、医療の現場では、軽度は「なんとかなるでしょう」という認識で、細かくアセスメントはされていません。また職務遂行に必要とされる能力と現時点での問題点を、細かくヒアリングしながら想定しなくてはならないが、担当の医療職(作業療法士や言語聴覚士)によりその想定能力に大きな差があり、問題点を把握できていないことが多いのです。さらに、病院で行われる伝統的で標準的な医療モデルに基づく機能訓練重視の要素的なリハビリテーションでは、復職・就労継続に向けた適切なプログラムになっておらず、予測される問題とそれについての対処方法のアドバイスなどの情報提供も不十分で、必要な情報を提供されずに、退院されて困っている人がたくさんいるのです。

これを無支援といいます。

「なくそう、未診断、無支援」が、本事業の要として活躍して頂いている鈴木大介氏が掲げた言葉です。この未診断問題について、語っている動画はこちら→

 

 

ちなみに、4年間、厚労省に研究申請しようと思ったとき、失語症・高次脳機能障害に該当する分野がなかったという経験があります。それほど、この軽度の人は制度のはざまにいるのです。ちなみに、こうした草の根的な研究にいつも手を差し伸べてくれるのが、三菱財団の社会研究・事業助成です。感謝・・

私の活動をご紹介

 

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