失語症は長期で回復する。決してあきらめないで
みなさん、こんにちは。言語聴覚士の多田紀子です。
私はオンラインで言語リハビリ「ことばの天使」を運営しながら、NPO法人Reジョブ大阪という団体で、2021年から、主に脳卒中や頭部外傷で障害のある当事者の方からお話を伺い、退院後の生活における課題と工夫を冊子にまとめてきました。
この事業は、様々なことが大変なのですが、私自身が、非常に勉強になるので、必死で続けております!
さて、2024年4月号は、失語症特集です。
失語症の当事者2人の体験談、そして1人は、ベテランライターの山口真一さんに、ご自身がご自分の経験を取材するように、記事を書いて頂きました。
2024年4月号は、失語症当事者の体験談を紹介
失語症になったライターである山口真一さんご自身の体験談と、60年前に発症した江川正治さんを取り上げました。
山口さんは、リハビリ病院に転院してすぐに、医師から「復職は無理です」と宣告を受けます。
精神的に追い込まれた時もありますが、自分のことは自分が一番わかっていると確信し、入院患者さんを対象に、インタビューを開始し、自身で復職の道を切り開きました。
60年前、6歳の時に発症した江川さんは、失語症の理解が乏しい中で、周囲からいじめられる経験をし、だんだん話さなくなってしまいます。
しかし、中学校に入ると周りの反応が変わり、自分から話しかけていきます。
伝えたいのは、失語症の症状と回復過程
失語症の症状と回復過程については、残念ながら100パーセント戻る人は非常にまれで、また、重度ほど回復が遅く、軽度の方は、比較的回復が早いと言われています。
60年前に発症した江川さんは、現在ではスムーズに話せるようになっていますが、それは長年にわたる本人の努力の賜物だと思います。
それは、何十年たっても、回復すると言う証でもあります。
希望と目標を持ち続けることが大事
失語症の回復には、本人が希望と目標を持ち続けることが非常に重要です。
人間の脳というのは、「こうだ」と思い込んだら、そうなってしまう傾向が強いのです。
回復しませんと言われ、それを信じてしまったら、リハビリにも前向きになれませんし、精神的にも落ち込みます。
結果、回復のチャンスさえ失くしてしまいます。
「回復する」と思い込んでいる人は、リハビリにも前向きですし、小さなことでも情報を集めて、挑戦するものです。
なので、医療従事者は、「絶対に無理です」と言うのではなく、「可能性がありますよ」と前向きな言葉をかけることが大切です。
江川さんは、小学生の時のいじめが原因で、ことばを話さなくなった時期がありますが、本を読んだり、勉強をしたり、希望と目標を持ち続け、努力を継続したことが、長期回復につながったのではないか思います。
リハビリをしたいかどうかは、本人の意思を尊重すべきであって、「やらないとダメです!」はあり得ない話です。
ただ、本人の意欲をそぐような言葉かけは、避けなくてはいけないと考えています。
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